性犯罪事件の公判で、ついたて越しに聞こえた被害者の震える声に、心身に深い傷を負ったことを思い心が痛んだ。同時に、同意を得ず身勝手に行為に及びながら「拒否されてないと思った」と話す被告人にあ然とした
▼刑法177条は「暴行又は脅迫を用いて」性交などをした者を処罰するとしている。2019年、被害者の抵抗のありようが指摘され要件を満たさないとした無罪判決が相次ぎ、憤りが広がった
▼スペインでは相手の同意がない性行為全てを性的暴行として罪に問える法案が可決された。スウェーデンなどでも既に同様の法改正がされている
▼事実上、被害者側に抵抗義務を課すような運用がされてきた日本でも法務省の審議会で議論されているが、先行きは不透明だ。法改正の議論と同時に、性行為には相手の明確な同意が絶対に必要だという当然のことを繰り返し浸透させていくことが重要だ
▼「嫌よ嫌よも好きのうち」は加害者側に都合の良いただの妄想だ。「イエス以外は全てノー」を、早急に社会の常識にしなくてはならない。