壁の向こうで野球の試合が行われている。身長の異なる3人がそれを見ようとしているが、壁が高くて見えない。その場合、どんな高さの踏み台を与えるか
▼身長の違いに関係なく3人に同じ高さの踏み台を与えるのが「平等」。この場合、高さが足りず試合を見られない人が出る。一方、試合が見られるようにそれぞれの身長に合わせて異なる高さの踏み台を与えるのが「公平」
▼誰もが暮らしやすい社会実現には、多様性を包括することにとどまらず、公平性の担保も必要なことを表現したイラストだ。障害者差別解消法のキーワードでもある「合理的配慮」がこの考え方と似ている
▼9月は障害者雇用支援月間。県内の障がい者実雇用率は2・86%で全国2位の高さだが、雇用義務のある企業の4割が法定雇用率未達成。任せられる仕事がない、どんな配慮をすればいいのか分からないという声も聞く
▼人はそれぞれ特性がある。育児や介護で時間の制約がある人もいる。合理的配慮ができる職場は障がい者だけでなく誰もが働きやすいはずだ。