<金口木舌>首里城再建の影で


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 「米軍が切ろうとしても泣き声がして切れなかったらしい」。那覇市の宮里整さん(89)から首里金城町に残るアカギのことを聞いた

▼アカギは市道沿いのバス停の近くにある。なるほど、確かに微妙に道に食い込み、少し傾いている。沖縄戦で日本軍が司令部を置いた首里は米軍から激しい攻撃を受けた。アカギは破壊される町や人々を見ていたのだろうか
▼前回は沖縄戦で焼失した首里城。今回、原因は特定されていない。県は、県議会9月定例会に首里城公園の国営区域と県営区域を一元化し、美ら島財団を指定管理者に指定する同意を求める議案を提出した。現在、審議中である
▼同財団は火災時の指定管理者でもある。選定は外部有識者でつくる選定委員会が決定し、選考を巡る経緯や応募した事業者数は明らかにされていない。透明性が低いと言わざるを得ない
▼火災はなぜ起きたのか。防火管理に問題はなかったのか。着工へ作業が加速する一方、置き去りにされた課題を首里城公園に展示されている焼け残った龍柱を見て考える。