<金口木舌>「地元体験」が観光の主流に


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 新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けた沖縄の観光。政府の水際対策の大幅緩和を受け、県内の行楽地も観光客でにぎわいを見せる

▼沖縄は入域観光客数が2018年度に初めて1千万人の大台を超えた。沖縄経済をけん引するリーディング産業としてコロナ禍からの完全復活が待ち望まれる
▼一方、過当競争による薄利多売は事業者の収益や働き手の賃金の向上にはつながりにくい。県民所得は全国の7割の水準のままだ。観光客数増に伴うごみや交通量の増加など環境負荷の課題も山積している
▼国頭村安田区は「地域への負荷を最小化しつつ、利益が最大限、地域に還元される」「安売りしない高付加価値な自然文化体験を提供する」など新たな観光の在り方を提案する
▼名護市の羽地民泊推進協議会は地元食材を食卓に並べる。仲村留美子会長宅に宿泊した修学旅行生はサーターアンダギーを手作りし「おいしい」と大満足。沖縄の豊かな自然や文化を生かしながら「体験」により付加価値を見いだす観光が今後の主流になるかもしれない。