目を凝らして空を見上げ、カメラを構えた。宮古支局で勤務した頃に毎年取材した秋の風物詩サシバの渡り。上空に群れが見えると、急いでシャッターを切った
▼中国や日本各地で春から夏に繁殖し、秋には越冬のため、東南アジアへ南下するサシバ。途中、宮古諸島や沖縄本島などで羽を休めた後、再び南へ飛ぶ
▼しかし、飛来数は減少傾向にある。宮古野鳥の会と県自然保護課のまとめによると昨年の飛来数は6844羽で、1973年の調査開始以来、3番目に少なかった。自然環境の変化など複合的な要因が影響していると考えられており、人ごとではない
▼宮古島市総合博物館は、サシバのリーダーを選ぶ「市鳥選挙」と称した企画を今月上旬までに実施した。同館所蔵のサシバの剝製から6羽を職員が選び、選挙ポスターも仕立てた
▼初代市鳥に当選した「大扇たかお」の公約は「もう一度、空一面を埋めつくす」。ふと見上げた空に飛ぶ鳥に関心を寄せることが自然の変化を知ることにつながり、保護活動へ理解を広げる一歩にもなる。