<金口木舌>美ら海水族館と昔話


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 一見、蛇のようだが、頭から伸びる赤いひれが神秘的だ。人前に姿を現すことはほとんどない深海魚「リュウグウノツカイ(竜宮の使い)」が、今年3月、国頭村鏡地の海岸に打ち上げられた

▼リュウグウノツカイの漂着は地震の前触れという言い伝えもあるが、真偽は不明。沖縄美ら海水族館(本部町)側は「打ち上げられた原因は分からない」と首をかしげる
▼竜宮と言えば、助けた亀に連れられた浦島太郎が有名だ。京都府与謝郡にある浦嶋神社の祭神「浦嶋子」が浦島太郎とされる。助けた亀は、京都の砂浜にいたとすれば本州で産卵するアカウミガメの可能性が高い
▼アカウミガメは、飼育下での性成熟が18~22歳で始まることを美ら海水族館が突き止めた。研究に携わった海獣課の河津勲課長は「根気のいる研究だった」と話す
▼美ら海水族館が11月1日で開館20周年を迎えた。マダライルカの繁殖に世界で初めて成功するなど海洋生物研究をリードしてきた同館の地道な調査が、言い伝えや昔話の解明にもつながる日が来るかもしれない。