日本漢字能力検定協会が年末に発表する今年の漢字は「戦」だった。ロシアによるウクライナ侵攻や、サッカーワールドカップの熱戦などが理由という
▼「戦」が選ばれたのは米中枢同時テロやアフガニスタン戦争があった2001年以来。しかしその間も、世界各地では戦争や内戦、紛争の悲劇が繰り返されている
▼2021年にクーデターを起こした国軍が実権を握るミャンマーでは、ウクライナ侵攻による国際社会の関心低下が指摘される。今年10月、国軍は少数民族武装勢力の式典を空爆し、多くの民間人を含む60人以上が死亡した
▼国軍に拘束され、先日帰国したドキュメンタリー映像作家の久保田徹さんは言う。「ミャンマーの人は声を上げたくてもできない。日本の人にそういう現状を知ってもらいたい」
▼日々新たなことが起こる中で、関心を持ち続けることは容易ではない。それでも戦争の惨禍を体験し、その後の米統治下で民主主義の重要性を痛感した沖縄だからこそできることがあるはずだ。世界から悲しい「戦」の文字をなくすためにも。