<金口木舌>地域支える共同売店


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 本島で最も寒い地域として知られる国頭村奥。村役場がある辺土名まで27キロ、名護市街地まで57キロの距離があり、幹線道路が整備された現在も移動は一苦労だ

▼かつて「陸の孤島」と呼ばれたこの地域で、117年前に設立されたのが県内最初の共同店(共同売店)。生活を支え合うため、住民が共同出資する形で誕生した
▼共同売店は北部や離島を中心に、最盛期には200店あったとされる。大型スーパーやコンビニエンスストアの進出で現在は60店舗ほどに激減した。地域の暮らしを長年支えてきた拠点が失われ続ける現状に寂しさを覚える
▼宜野座村漢那区の共同売店が27日、地域色を大切にする小売店チェーン・全日本食品の加盟店としてリニューアルした。同店の伊差川研作さんは「地域の共同売店を守りたい」と存続の道筋を付けた
▼流通の合理化で便利になったが、それだけで生活の質が向上するとは限らない。運転を卒業し、ゆっくりと幹線道路を横断する住民に寄り添う地域の共同売店は、ゆいまーるを大切にしてきた沖縄の財産だ。