<金口木舌>AI時代に必要な能力


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 「半沢直樹シリーズ」など人気作を生む池井戸潤さんの小説は、サラリーマンの喜怒哀楽を多く描く。不条理な上司、なかなか進まない仕事などリアリティーがあり物語に引き込まれる

▼小説でも実社会でも、仕事で困難に直面したときは誰かの支えが必要になる。一緒に悩んでくれたり、力を貸してくれたり。同じ気持ちで歩む上司や同僚がいれば壁を乗り越えられる
▼インドの企業では、対話型の人工知能(AI)が最高経営責任者に就任する。人間のように親身になって話を聞いてくれるのか。新たな「上司」を迎える社員の胸中が気になる
▼AIの普及に伴い人間の仕事が奪われるとの懸念が広がる。人手不足の解消などプラスの側面も理解するが、自分の仕事がなくなるのは避けたい。AI時代に生き残れる人材でありたい
▼相手の気持ちをくみ取り、温かく接することはAIには難しいだろう。周囲に優しくして誰かを支える存在になる。そういう人間にしかできない行為を欠かさないことが、これからの時代に必要な能力かもしれない。