<金口木舌>副村長考案の「今帰仁スピリッツ」


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 今帰仁村の比嘉克雄副村長には変わった特技がある。模合仲間と訪れる名護市のダイニングバーでバーテンダーとなりシェーカーを握る

▼仲間たちに振る舞うカクテルの名は「今帰仁スピリッツ」。地元の酒造メーカー・今帰仁酒造の泡盛を白ワインで割り、地産のシークヮーサーなどを加える。まろやかな地酒にシークヮーサーの酸味が絶妙に合う
▼「今帰仁をPRしたい」との思いで1年前に考案した。グラスを傾けながら話題となるのは村の歴史絵巻。「かつて北山は交易などで栄えた」。今帰仁城は三山時代、北山王朝の拠点だった
▼中国の史書「明実録」には、北山の三王との交易の記録が残り、今帰仁城跡からは中国製の陶磁器などが発掘されている。今帰仁御神(なきじんうかみ)と呼ばれた志慶真乙樽(しげまうとぅだる)が運天港に向かって航海の安全を祈願する姿を想像しながら、カクテルを味わう
▼グスク時代や三山時代には按司や王たちが各地で権勢を振るった。地産の一品を楽しみながら、歴史物語をひもとく。このような場から村の未来図も描けるかもしれない。