<金口木舌>4年ぶりの夏に躍る


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 紙面に連日「4年ぶり」の言葉が躍る。インフル並みへ移行したもののコロナ禍収束とはいえず、油断は禁物だが、4年ぶりとあって気分も躍る

▼約8500人の高校生が出場する県総合体育大会が集中開催中だ。3千人が参加して4年ぶりに行われた総合開会式の前に、生徒らがメッセージを読み上げた
▼部活動の暴力や暴言をなくすため「私たちの意見が尊重されるチームを一緒につくりたい」。2年前に起きた部活動の顧問による生徒の「指導死」が根底にある
▼勝利至上主義、体罰や乱暴な言葉は教育ではない―。社会もようやくスポーツハラスメントに反応し始めた。勝ち負けはひとつの目安にすぎない、と。そううそぶきながら、紙面で勝者だけをたたえてはいないだろうかと自問する
▼4年ぶりに大歓声が戻った県総体。勝つ、楽しむ、なんとなく。動機はいろいろあっていい。「帰宅部」を含め、部活動は誰のものでもない、生徒一人一人のものだ。その原点を守ることを誓い、4年ぶりの熱い夏を全力で駆け抜けてほしいと願う。