<金口木舌>近頃の政治家は…


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 「近頃の若い者はなってない」。こんなフレーズは昔からあった。いつの時代でも、年長者はお眼鏡にかなわない若者を十把ひとからげになじるものだ。あまり世のためにはならない

▼そして、いつの時代でも、苦労と努力を重ねる若者はたくさんいる。那覇市出身の声優、森田麻莉さんもそんな1人だった。学費を賄うために東京都内で新聞奨学生を兼ねながら学んだ
▼朝夕刊を自転車で配達し、合間に昼夜の講義。遊ぶ間はなく休日は疲れた体をいたわった。「声優への通過点。ただただ頑張った」。前借りの奨学金は期間内に返済した
▼日本学生支援機構の貸与型奨学金を返済中の人を対象にしたアンケートがある。「生活費を削って返済している」「結婚なんてと考えてしまう」。45歳以下の2200人のうち4割近くが「奨学金が結婚に影響」とも
▼学びの資金に―と思う予算は国にある。いくらかでも有為な人財へ振り向けたい。未来を思うなら口酸っぱく言うべきフレーズがある。「近頃の政治家はなってない」。正しく批判することは世のためにもなる。