<金口木舌>りゅうちぇるさんの言葉


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 ryuchell(りゅうちぇる)さんに会ったのは昨年12月であった。語り口から受けた印象は「本島中部のにーせー」。沖縄を離れ9年になるが独特のイントネーションは抜けない。シマの体温が漂ってきた

▼明るかった小学生時代、ふさぎ込んだ中学生時代、SNSで個性を解き放った高校生時代を快活に語ってくれた。「高校は自分の居場所になったんです」と話し、笑顔でうなずいた
▼東京での暮らしの中で「諦める、割り切る、逃げる、戦わない。そして、期待しない」という武器を身に付けたという。20代にしては達観していると感じた。どこかで武器を手放したのだろうか
▼すてきな言葉をのこしてくれた。那覇で今年1月にあった講演会で「柔らかな大人になりたい。自分を大切にし、愛して、自分の直感を大事にしていきたい」と語っていた。この言葉に希望を見つけた
▼突然の訃報。その存在を心の支えにしてきた人はつらかろう。でも、りゅうちぇるさんの言葉はこれからも生きる。あなたの心に差し込む一筋の光となる。