<金口木舌>助け合いの精神


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 独特の歴史や文化が育んだ独自の取り組みが沖縄には数多くある。7月の県産品奨励月間もその一つ。この種の取り組みは他県では珍しいという

▼始まりは米統治下時代にさかのぼる。基地収入への依存度が高く、貿易収支は不均衡だった。不健全な状態を打開しようと琉球政府が1954年に打ち出したのが島内産愛用運動だった
▼運動の趣旨は「島内生産業の振興を図り、自立態勢を確立する」。53年創立の琉球工業連合会(現・県工業連合会)が主導した。関係者は「外に頼るとものづくりが成長しない。自ら力を付けるため運動が起こった」と振り返る
▼島内産愛用の精神は復帰後も受け継がれた。今年の月間テーマは「県産品 みんなで創る島の価値」で、4年ぶりにパレードもあった。県産品愛用の思いを新たにした人も多かっただろう
▼県内製造業の自給率が上がれば雇用も生まれる。一人一人の関わりが経済の足腰を強くする。助け合いの精神が生んだ取り組みを大事にしたい。月間は終わっても、県産品を愛する気持ちは変わらない。