<金口木舌>エイサーは太鼓をたたくのみにあらず


<金口木舌>エイサーは太鼓をたたくのみにあらず
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 10年以上前に沖縄市内で自治会が主催した慰霊祭を取材した。いかにもうーまくーそうな少年が、一生懸命に椅子を並べていた

▼戦争体験者が高齢化し、青年会が会場設営を担っていた。少年は「おじい、おばあは来るだけでいいから、慰霊祭は続けてあげたい」と話した。今は30代くらいか。責任世代だろう

▼今年の旧盆は久しぶりの道じゅねーを存分に楽しんだ。太鼓の音に誘われてできた人垣を見ると「沖縄」の血が共鳴する。道じゅねーは先祖供養でもあるが、大仕事や新築、出産などがあった家々を回り「嘉例(かりー)」も付ける。青年会の役割は奥深い

▼とはいえ、多くの若者は社会活動がしたくて青年会に入るわけではない。やはりエイサーに憧れるのだ。そこを入り口に心と地域がつながっていく

▼夜風が涼しくなり始めたこの季節は、彼ら彼女らの晴れ舞台が続く。旧盆道じゅねーと並ぶ大舞台「沖縄全島エイサーまつり」がきょうから始まる。コロナ禍を経て開催は4年ぶり。若者たちのかっこよく、華やかな姿が楽しみだ。