<金口木舌>観光タイムスリップ


<金口木舌>観光タイムスリップ
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 目の前に城壁は存在するが、仮想現実を映すMRグラスをかけているので、手前には亜熱帯の魚やウミガメが泳いでいた。正直な感想は「なぜ、ここで海」だったが、理由を聞いて驚いた。標高約150メートルにあるここ中城城跡は、遠い昔は海底だったそうだ

▼14世紀後半に築城された中城城はサンゴが隆起してできた琉球石灰岩の崖の上にある。二つの時空を共存させるMR技術で思わぬタイムスリップを楽しんだ
▼かつて中城城には、当時勢力を誇った阿麻和利をけん制するために座喜味城主の護佐丸が王府の命令で移り住んだ。かのペリー提督も訪れ、城壁の完成度を絶賛したとの記録がある
▼独自性ある歴史の宝庫である沖縄。沖縄戦で多くの歴史遺産も破壊されてしまったが、仮想現実でその一端だけでも体感できれば、新しい観光コンテンツが生み出せるかもしれない
▼本島北部には新たなテーマパークができる。豊かな自然の中で恐竜に追いかけられるアトラクションもあるそうだ。新たな技術が観光にどんな未来をもたらすかも楽しみだ。