気付いたら、自分一人だった。地下鉄の車内で新聞“紙”を読んでいる横で、ほかの客はスマートフォンに集中している。ニュースを読んだり、SNSやゲームに熱中したりしているらしい
▼最近見た新聞社が舞台の映画で、新聞紙が輪転機から高速で刷り出されていくシーンが映されていて、わくわくして見た。特にスクープ記事を掲載した新聞紙だとなおさらだ
▼小さいときからうちには新聞紙があった。あるのが当たり前だった。だがデジタルネーティブ世代にはニュースはスマホが定番。輪転機から刷り出される新聞紙を見ても、何か分からない人もいるかもしれない
▼日本新聞協会の調べでは、国内での1世帯当たりの新聞部数は、2008年から「1」を割り込み、以来下降の一途だ。新聞を取らない世帯も増えている
▼17日に全国一斉で行われた全国学力テストで、中学校国語Aの問題に「新聞紙の製造工程」が取り上げられた。説明文の読解力を問う問題で、新聞紙の特性や古紙から新聞紙を製造する過程を紹介している。「新聞巻取紙」などの業界用語も並ぶ
▼設問文の引用で、新聞が「紙の記録性」の代表的なものとして紹介されていた。スマホでは読みたい記事だけを読みがち。だが紙の新聞だと、注目した記事の隣の記事にたまたま触れ、新たな世界が広がる。そんな楽しみもぜひ知ってほしい。