<金口木舌>兄弟島と呼ばれる伊江、伊是名、・・・


この記事を書いた人 琉球新報社

 兄弟島と呼ばれる伊江、伊是名、伊平屋、鹿児島県与論の4島。毎年、持ち回りでやんばる駅伝競走大会の舞台となる。ことしは伊江島で5月26日に開催された

▼同じく兄弟島の沖縄本島と鹿児島県沖永良部島も含め、計17チームが健脚を競った。大会は多くの支えがあって28回を迎えた。島を発着する船もその一つ。伊江村営フェリー「ぐすく」はこの日、選手らを本部港から伊江港に運んだ
▼大会のための臨時便で、約26年に及ぶ運航の最後の日になった。途中、もう一つの村営フェリー「いえしま」と擦れ違った。一方が運航の場合、もう一方は整備点検となるため普段は見られない光景だ。「ぐすく」の甲板で互いの汽笛を聞いた
▼「ぐすく」の運航回数は約2万1千回。乗客約561万人や車約106万台に加え、物資なども送り届けてきた。その数のドラマも運んできただろう
▼レース後の打ち上げでは、選手がチームの枠を超えて健闘をたたえ合い「来年、また勝負だ」とグラスを交わした。大会あいさつでは「ぐすく」への感謝の言葉も絶えなかった
▼28日、「ぐすく」は新天地の長崎県壱岐へ向かい、伊江島から旅立った。見送る村民には涙を浮かべる人も。7月から伊江島に就航する新造船は「ぐすく」の名を引き継ぐ。二つの「ぐすく」はこれからどんなドラマを運ぶのか。想像するだけで胸が高鳴る。