<金口木舌>県系人が世界各地で踊る。ビール・・・


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県系人が世界各地で踊る。ビールのテレビCMで、おなじみのシーンだ。ハワイ編では県人会の活動拠点、ハワイ沖縄センターの前で舞う

▼センターは1990年に完成し、沖縄からの訪問者も多い。屋根を彩る7万5千枚の赤瓦は、県民の1人1枚の購入運動で届けられた。その原動力は恩返しの思いだった
▼118年前、沖縄から最初の海外移民がハワイに到着した。戦前の一時期、海外からの仕送りが県経済を支えたことも。終戦直後、ハワイの県系人は「荒廃した沖縄を救え」と衣類や食料、家畜を送り支援した
▼敵国のスパイだと、戦中は不信の目にさらされた。県系人は収容所に送られ、敵として沖縄戦に従軍することを迫られた。苦境に立たされながらも、沖縄からハワイに移送された県人捕虜に手を差し伸べ、寄り添った
▼現在、新たな恩返し運動が展開中だ。センターの管理費や県人会活動資金の捻出を目指し、テナント施設「ハワイ沖縄プラザ」が現地で完成した。県内でも建設費に充てる寄付金を募り、目標の1億円達成は目の前だ。9月の落成式には沖縄からチャーター機が飛び、多くの県民が駆け付ける
▼沖縄ハワイ協会の高山朝光会長は支援に感謝し、期待を膨らます。「ハワイと沖縄の歩みを次世代につなぐ機会になる」。対立を強いられた忘れてはいけない時代。共有することで絆はさらに強まる。