<金口木舌>社会人野球の都市対抗大会が開幕した。応援が郷土色豊かなことで・・・


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 社会人野球の都市対抗大会が開幕した。応援が郷土色豊かなことで知られる。過去に出場した沖縄電力のスタンドではエイサーでの鼓舞もあった

▼会場の東京ドームに今年は募金箱が置かれた。西日本豪雨の被災地支援のためだ。各地の応援団が次々と寄付をしている。スポーツを通じ、支援の輪が広がる
▼「江戸時代の縁がある」と支援に手を挙げたのは新潟県長岡市。幕末の長岡藩政を担った河井継之助が備中松山藩で陽明学者に学んだことを言っている。備中松山藩は現在の岡山県高梁(たかはし)市。長岡市は被害のあった高梁市に職員を送った
▼これまで両市の間に特に交流はなかったという。江戸時代の恩返しとは粋な話だ。東日本大震災で東大寺が多額の義援金を送ったことがあった。大仏造営時、東北から砂金を送ってもらったことなどが理由。1300年前からの恩を返す行いだった
▼支援に立ち上がる気持ちがまず先にあるのは当然だろう。ただそこに、恩返しといったストーリー性が加われば、支える側にも張り合いが出る。被災者の思いを背負い都市対抗に出ている広島のチームにも注目が集まっている
▼カープがキャンプを張る沖縄市は広島県に200万円の寄付を決めた。交流を深めてきた実績があり、今後も支援が広がるだろう。両地域の絆を深めるために沖縄から何ができるか。知恵の絞りどころである。