<金口木舌>謎の動物が大宜味村で見つかった。大きさは中型犬、顔はウサギ・・・


この記事を書いた人 琉球新報社

 謎の動物が大宜味村で見つかった。大きさは中型犬、顔はウサギのよう。正体はアルゼンチンに生息する草食動物マーラ。その姿は本紙16日付に掲載された。飼育下から逃げた可能性がある

▼北部で車を運転中、影が前を突然横切り、ひやりとした。こちらはマングース。本年度、やんばるで幾度となく遭遇した。北谷町の海岸で出くわしたこともある
▼いずれも外来種。県統計によると、県内で動植物の外来種1430種を確認している。このうち動物は650種超。特にマングースは生態系に大きな影響を及ぼす侵略的外来種と呼ばれる
▼マングースは1910年、ネズミの駆除を目的に25匹が放たれた。当時の紙面からはマングースを益獣とし、移入することへの人々の期待がうかがえる。希少種を捕食する害獣との指摘は80年代に入ってから
▼マーラのような草食動物が影響を与えないとは誰も断言できない。環境省やんばる自然保護官事務所は警鐘を鳴らす。「外来種が野生に放たれれば、大なり小なり生態系に影響する。ペットのカブトムシでも在来種には悪影響だ」
▼マングースの駆除が進む一方、ペットが野生化したノイヌ、ノネコが捕食者として脅威になっている。身勝手な人間が今日の事態を招いた。自然を破壊する最大の侵略者は人間だ。自らの姿を直視することが生態系を守るための第一歩になる。