ミッション・インポッシブル(不可能な任務)と言われた救出劇だった。洞窟から生還したタイの少年らが会見し、元気な様子が世界に配信された
▼雨期に当たり、水位が上がる可能性があった。危険な潜水救助が待ったなしだった。熱帯モンスーンの夏は、湿った海風が入り込み、大量の雨をもたらす
▼逆に冬の乾期は乾燥した風が吹く。夏は洪水、冬は干ばつに見舞われる地域がアジアにはある。上水道や井戸の未整備も深刻だ。沖縄市のNPO法人アジアチャイルドサポートはアジアの国々で井戸の整備に取り組む
▼那覇市の専門学生が法人に井戸の建設資金を託した。法人の池間哲郎代表理事による講話がきっかけだ。夏は雨が学校に流れ込み、冬には水くみのために学校に行けない子どもたちがアジアにいることを知った。5年前のことだ
▼アルミ缶回収などの資金造成は先輩から後輩に受け継がれ、ようやくミャンマーでの建設費に到達した。贈呈式で学生代表の与那嶺匡さんは「安全な飲み水で子どもが病気から守られ、夢に向かって生きてほしい」と願った
▼県内の水事情が切迫していたのはつい最近だ。天水とはよく言ったもの。貴重な調味料に例えて「雨垂(あまだ)い水(みじ)や醤油使(しょうゆじけ)え」の言葉もある。降るかどうか、もどかしくとも人間にはどうしようもない。日ごろから、水環境の大切さを肝に銘じ、節水を心掛けたい。