<金口木舌>かじ取りに注目を

 バルバス・バウと聞いて船の話と分かれば、海運業界に関わりがあるか、よほどの船好きだろう。球状船首とも言われる。船首の下部のふっくらと丸まった突き出しのことだ

▼海面をかき分ける際にできる波の抵抗を打ち消す効果がある。船足を速くし燃費が良くなる。多くの船で採用され、欠かせないものだが、普段は水中にあって見えない。喫水の下の力持ちだ
▼統一地方選後の初議会が各地で開かれた。新人議員が緊張した表情で質問に立った。「住民の声に真摯(しんし)に向き合う」「他の議員と力を合わせ、地域に貢献する」。目立たずとも、陰日なたなく活動すると意気軒高の決意表明もあった
▼傍聴者の多さも改選直後の議会の特徴だ。普段の定例会ではあまりないが、議員の数を超える住民で埋まったところも。家族や支持者だろう。質問が終わると音のない拍手でねぎらう姿も見られた
▼へさきのとがった船首とバルバス・バウはセットで波を打ち消す効果がある。首長をトップとする行政と両輪と言われるのが議会。海路に例えれば、向かってくる大波、荒波を行政と共に乗り越えなければならない
▼積み荷がなく、船体が浮き上がるとバルバス・バウは逆効果になるという。満員の傍聴席が象徴的だ。有権者が無関心だと議会はうまく機能しない。船はどこへ向かうのか。かじ取りへの関心を失いたくない。