<金口木舌>日本は「自己責任」、スペインやアメリカでは…


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 48年前のきょう、報道写真家の沢田教一さんがカンボジアで取材中に銃撃され亡くなった。ピュリツァー賞を受賞した、ベトナムで戦火から逃げる母子を撮った「安全への逃避」は、平和のために何かできないかという思いを人々に抱かせた

▼本紙も1967年に記者をベトナムに派遣した。南ベトナム解放民族戦線に拘束され、後に解放された。なぜ危険を冒してまで戦地に赴くのか。現地の実態を発信することで、少しでも苦境にあえぐ人たちを救いたいという思いがある
▼シリアで武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平さんが帰国した。市民の側から戦闘行為の実態を伝えてきた安田さんに対して「自己責任」という批判が向けられている
▼安田さんと同時期に拘束されたスペイン人ジャーナリスト3人はスペイン政府がカタールなどに仲介を依頼し、2016年に解放された。帰国した3人をスペイン軍関係者が敬礼して迎える姿が印象に残る
▼15年にフリージャーナリストの後藤健二さんがISに殺害された際にも日本で「自己責任」の批判が上がったが、オバマ米大統領(当時)は「勇敢にシリアの人々の苦境を外の世界に伝えようとした」とたたえた
▼報道の使命は地域や世界で起きている現実を伝えること。命懸けで事実を伝えようとした人を中傷する背景には報道への無理解がある。