<金口木舌>国際寛容デー


この記事を書いた人 琉球新報社

 16日は国際寛容デーだった。1995年のユネスコ総会で採択された「寛容原則宣言」にちなみ、96年の国連総会で制定された。「寛容さ」を人類にとって最も重要な「徳の一つ」と位置付ける。日本の状況はどうだろうか

▼以前取材した埼玉県に滞在するトルコ国籍のクルド人女性は「トランプ米大統領が移民を閉め出そうとしているが、日本ははるか先を行っている」と言った。兄がトルコ当局に拘束され、夫は日本で入国管理局の施設に収容されていた
▼難民認定申請者は増加傾向だが、日本政府はほとんどの申請を却下している。強制退去を拒み、入管施設に収容される人も多い。政府は外国人の受け入れ拡大を目指すが、現在日本に暮らす非正規滞在者対策は強化した
▼大阪の入国管理局の施設で6月、最大6人用とみられる部屋に17人が24時間以上、閉じ込められた。長期収容者の増加で施設内でのトラブルが増えている。2007年以降、自殺や病死で13人が全国の施設内で死亡した
▼日本も批准している国連の自由権規約は被収容者への非人道的な扱いを禁じている。収容の長期化にも国内外から批判があり、国連の拷問禁止委員会は13年に懸念を表明した
▼沖縄は多くの移民を送り出し、県人は各国の社会に深く根付いている。故郷を離れたウチナーンチュは、外国人への不寛容な対応に何を思うだろう。