ありがとう、大好きだよ、忘れない。優しく、ぬくもりがある言葉だ。面と向かって口に出すのは、ちょっと照れくさいけれども、大切な人にはしっかりと伝えたい。年の瀬を迎え、そのようなことを感じている
▼元米軍属の凶行で命を落とした女性の冥福を祈る恩納村安富祖の献花台でこれらの言葉を見つけた。花束と共に、故人へのメッセージを記した色紙やカードが並んだ。また来るね、という文字もあった。友人が記したのだろう
▼今月に入り、遺族の意向で献花台が片付けられた。三年忌を終えての区切りという。献花台を訪れた人々への謝意とともに「これからも娘を思い供養していきます」という父親のコメントが胸に重く響く
▼生前の彼女を知る人々を含め、多くの県民も同じような思いでいるだろう。事件から2年余が過ぎても、献花台には花束や飲み物、菓子が並んだ。若い命を奪った痛ましい事件は県民の記憶に深く刻まれている
▼今年も残り10日余となった。政府の無法に対する怒りの声が、やんばるの海や米軍基地のゲート前で飛び交う。年末の混乱のただ中にあって心を鎮め、思いを新たにしよう。失ってはならない大切な人がいることを
▼献花台がなくても、犠牲者を悼み、平和を祈る気持ちに変わりはない。だからこそ、この言葉を深く心にとどめたい。ありがとう、大好きだよ、忘れない。