<金口木舌>猪突猛進は禁物

 諜報(ちょうほう)の世界を描く人気ドラマ「ホームランド」。ロシアの諜報機関が米政権の転覆を画策し、SNSでフェイクニュースを発信する場面がある。悪意に満ちたデマを複数のアカウントが自動的に再投稿することで、全米中に拡散。憎悪(ヘイト)やデマによって猜疑心(さいぎしん)に駆られた民衆心理は社会の深刻な分断を招いた

▼ドラマの作り話だと思っていたが、沖縄を標的に現実に繰り広げられていた。本紙のファクトチェック取材班が、昨年の知事選で悪質な中傷を含む情報がインターネット上で機械的に拡散されていたことを突き止めた
▼発信者は現時点で不明だが、特定の候補者に関する偽情報を発信・拡散することで有権者の判断を不当に操り、分断を図ろうとした可能性は否定できない。看過できない民主主義への攻撃が目の前で起きている
▼辺野古移設問題を含め、政治や地域住民の生活が絡む問題は議論が付きもの。賛否にかかわらず意見は尊重されるべきだが、議論の土台は正しい情報が前提だ
▼インターネットの登場で、誰もが迅速かつ幅広く情報を発信できる便利な時代になった。だが、デマへの対応は拡散の速度に追い付いていない
▼米オハイオ州立大の研究によると、人は真実でなくても信じたい情報を信じる傾向があるという。大切なのは立ち止まって情報の真偽を見極める姿勢である。猪突猛進は禁物だ。