子どもの将来の夢で常連ともなったインターネット動画投稿のユーチューバー。人気者ともなれば数百万人の閲覧者を擁し、その影響力は企業も注目する
▼ユーチューブに限らず、ネット上の会員制交流サイト(SNS)が消費者に与える影響に着目した販売戦略が盛んだ。インフルエンサーと呼ばれる影響力のある人に商品の印象などを発信してもらい、購買につなげる手法も既にビジネス化している
▼比嘉酒造が新ボトルの開発でインフルエンサーの女性たちを起用した。試飲でボトルの印象を聞き取り、新たな飲み方も提案してみせて、その印象を写真共有アプリのインスタグラムで発信してもらう
▼都合のいい面だけアピールしてもらえるかと思いきや、そうでもないらしい。昨年は従来のボトルの印象を聞いたところ「おじさんのイメージ」でおしゃれじゃないと厳しい意見があり、ボトル開発に着手した
▼彼女たちはインスタ上で独自の世界を展開している。その世界観に共鳴する読者がフォローし、その数は数万から数十万にも及ぶ。紙の雑誌になぞらえて、発信者はいわばインスタ上の編集長だ
▼インフルエンサーを紹介する企業によると、嗜好(しこう)やフォロワー数で分類しており、投稿するとフォロワー数に比例して報酬を得られる。情報発信がより「たこつぼ」化する中で、新聞が何をすべきか、また考える。