<金口木舌>習い事の低年齢化


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 5歳、4歳、3歳、0歳―。順番にフィギュアスケートの浅田真央さん、羽生結弦さん、卓球の福原愛さん、水泳の萩野公介さんが競技に触れた年齢だ

▼トップアスリートには幼少の頃に競技人生の一歩を踏み出した人が目立つ。各界で若い人材が活躍したり成功を収めたりしているのを見て自分の子供も、と刺激を受ける親は多いだろう
▼習い事の低年齢化が進む。笹川スポーツ財団の2018年の調査では4~11歳の未就学児の72%が何らかのレッスンを受けていた。一番多いのは水泳。上位14位以内でサッカー、体操などスポーツ系が九つを占めた
▼未就学児のスポーツクラブへの加入率は15年の32・8%から17年は40・1%に増えた。背景には20年開催の東京五輪・パラリンピックの影響もあるだろう。単一か複数を幅広くさせるのか一長一短あるにせよ本人が望む習い事をさせるのは悪いことではない
▼ただ幼少期からの高度なトレーニングで体を痛める危険性もある。エリート志向の押し付けで競技へのやる気をそいでは元も子もない。プロで活躍できるのはごく一握りだが、習い事は協調性や集中力を養うことにも役立つ
▼最近、幼い子どもへのスポーツ指導者の役割として、遊びを先導する重要性が指摘される。体を動かす楽しさを感じさせるのである。大事なのは子どもたちの主体性を尊重することだ。