沖縄での街頭演説がオスプレイの騒音にかき消され、思わず「ゲラウェイ(あっち行け)」と叫ぶ総理。辺野古に伝わる海水を使った伝説のゆし豆腐の口当たりが「ジャリジャリ」する―
▼演芸集団FECのまーちゃんこと小波津正光さん(44)が企画・脚本・演出を務める「基地を笑え! お笑い米軍基地15」のワンシーンだ。本島縦断オール新作ツアーの那覇での初日に足を運んだ。中高年の観客が多い中、若者や家族連れの姿も
▼「米軍基地」と「お笑い」は一見、懸け離れているが、小波津さんの芸人フィルターを通すと米軍の事件・事故は全てネタだ。客観的に笑うことで、沖縄の現状や社会全体の危うさなどを分かりやすく伝えている
▼県民はこれまでも逆境を笑いに変え、生きる糧にしてきた。沖縄の「チャプリン」と呼ばれた小那覇舞天さん(本名・全孝)は戦後、「ヌチヌグスージサビラ(命のお祝いをしましょう)」と生き延びた人たちを歌と笑いで癒やし、希望を届けた
▼小波津さんは毎年新作を生み出し、慰霊の月に県内各地で公演する。今年で15年だが「相変わらずネタに事欠かない。笑えない問題ほど、笑いにしてやる」と芸人魂はパワーアップしている
▼今日は名護市民会館で新作ツアーの最終公演。ファンの一人としては悩ましいが、将来、基地を笑わずに済む日が来ることを心から願う。