同級生を心配する女子生徒の訴えは生かされなかった。岐阜市立中3年の男子生徒が3日、マンションから転落死した。亡くなる前、他の同級生が男子生徒に対して給食で嫌がらせをしたり、物を隠したり、見下したりしていたという目撃情報があった
▼女子生徒が嫌がらせの内容をメモにして担任に渡していた。担任は嫌がらせをした生徒と面談したが、上司に伝えずメモを廃棄した
▼10代の自殺が後を絶たない。政府の自殺対策白書によると2018年に自殺した19歳以下は前年比32人増の599人。全世代の自殺者総数は9年連続で減っているが、19歳以下は1978年以降最悪となった
▼最も多かった理由は「学校問題」。内訳は「学業不振」が最多で「進路の悩み」「学友との不和」が続いた。10代は学校が生活の大きな比重を占める。学校から得られる知識や体験は大きいが、つらい場所になることもある
▼青壮年期の自殺に詳しい精神科医の長田清さんは、行動の変化に気付いたら「大丈夫?」といった声掛けを勧める。「心配している」というメッセージになるという。悲観的な考えが離れないときは専門機関の利用を勧める。大切なのは「共感すること」と説く
▼子どもの様子がおかしければ無理に通学させる必要はない。「学校を休んでいい」と言ってあげることだ。SOSを見逃してはならない。