日米首脳会談で日本が米国産の飼料用トウモロコシ約250万トンを追加輸入する方針が発表された。日本政府は国内で新たな害虫が発生したことを受け備蓄を積み増すと説明しているが、国内生産に深刻な被害は出ていない
▼関係者からは「来年の米大統領選を前に、米中対立のあおりで売れなくなったトウモロコシを日本に押し付ける材料に利用された」との声が出ている。日本政府の米国に追従する外交は相変わらずだ
▼トウモロコシを輸入するのは民間企業だが、政府は飼料備蓄の際に必要となる保管料などを支援する方向で検討している。税金から支出されることになる
▼政府の言う害虫は「ツマジロクサヨトウ」というガだ。7月に鹿児島県で初確認され、沖縄本島北部や離島でも確認された。県によると、トウモロコシの収穫はほとんど終了したため経済的な被害はない
▼ポルトガルに「一粒ずつ食べて鶏はおなかをいっぱいにする」という言葉がある。鶏が食べるのはトウモロコシだ。「ちりも積もれば山となる」と同じような意味だという
▼政府は名護市辺野古の新基地建設や、日米地位協定の改定についても米国に物を言わない。別々の問題でも、多様な分野で積み重なれば通底する悪弊が見えてくる。戦後74年間も追従を続ける政府に対し、国民はいつになったら「もうたくさん」と言うのだろうか。