<金口木舌>漂着船が結んだ被災地と沖縄

 陽光を浴びた海が宝石をちりばめたように輝いている。街は道路、住宅の建設ラッシュ。目立つ空き地、海と町を遮るような防潮堤に地震・津波の被害を連想した。昨年夏、東日本大震災の被災地ツアーに参加し、三陸海岸の街・岩手県釜石市と大槌町を訪ねた

▼ガイドの女性は兄夫婦を含む6人の親戚を失った。自宅も壊れた。被災後、気が沈む日々だったが「同じ体験をしてほしくない」という思いでガイドを始めたという。心に傷を抱えながらマイクを握る姿が印象に残った
▼震災から間もなく8年半。津波にさらわれ行方不明になっていた釜石市の漁船「清昭丸」が金武町の海岸に打ち上げられているのが見つかった。所有者は釜石市在住
▼金武漁協の伊藤達也さんが引き取りに名乗りを上げた。船は動力部がなくなっているが、大きな損傷はない。「何かの縁だ。もう一度仕事をさせてあげたい」と伊藤さん。釜石の所有者も船の再利用を喜んだ
▼金武町から釜石市は遠い場所。助け合いの気持ちが縁を結んだ。災害時に大切になるのが互助の気持ち。近所付き合いがあれば、いざというときに助け合える
▼9月1日は「防災の日」。非常用持ち出し品の準備、避難場所の確認といった備えと併せ、地域とのつながりなど身近な人間関係を再点検したい。「ゆいまーる」の精神はセーフティーネットの一つになる。









  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス







  • 他のサービス