<金口木舌>脱炭素化と空疎な発言


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 「私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは、お金のことと永遠の経済成長というおとぎ話だけ」。米ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」で、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16)が発言した

▼同サミットで77カ国の首脳らが2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする長期目標を表明した。トゥンベリさんは各国で議論される温暖化対策の不十分さを指摘した
▼安倍晋三首相はサミットに出席せず、日本は長期目標を表明した77カ国に加わらなかった。政府は脱炭素社会の実現を目指す長期目標を発表しているが、二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電の利用は続ける方針だ
▼サミットに参加した小泉進次郎環境相は前日の22日のイベントで、脱炭素化に向けた具体的方策を質問されて言葉に詰まった。同日の記者会見では気候変動対策について「楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」と発言し、国内外で報じられた
▼「セクシー」の具体的な内容を問われると「説明すること自体がセクシーじゃない」などとはぐらかした
▼トゥンベリさんは温室効果ガス排出量の多い飛行機を使わず、ヨットで米国を訪れた。行動を伴う発言には説得力がある。上の世代から、つけを回されることを拒む彼女の怒りに、空疎な言葉で応えるわけにはいかない。