<社説>市町村議員有志の会 自治取り戻すうねりを


<社説>市町村議員有志の会 自治取り戻すうねりを
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 沖縄の自己決定権の確立や辺野古新基地建設阻止を目的に、市町村議員有志が結集する「辺野古新基地建設に反対し、沖縄の自治の底力を発揮する自治体議員有志の会」が発足した。21日現在、108人が所属する。住民に最も近い存在である市町村議員による超党派の動きであり、沖縄の政治の新しいうねりとなることを期待したい。

 発起人は読谷村議の與那覇沙姫さん、北谷町議の仲宗根由美さん、名護市議の多嘉山侑三さん。3人とも昨年9月の統一地方選で初当選した無所属の30代だ。4日の辺野古不承認訴訟の県敗訴確定を受け迅速に動いた。自衛隊配備強化にも反対し、沖縄の民意が反映される地方自治の確立を目指すという。
 主な活動として(1)新基地建設反対を貫く知事の毅然たる行動を後押しする(2)真の沖縄の自治を実現する(3)希望に満ちた子どもたちの未来を実現する―を掲げた。設立会見で「真の沖縄の自治実現」のイメージを問われ、仲宗根議員は「沖縄のことは沖縄が決めて、その結果に沖縄が責任を取るということが真の自治だ。これまで沖縄が自立しないように仕向けてきた歴史や仕組みがあった。そんな時代はもう私たちで終わりにしたい」と述べた。
 辺野古新基地を巡って沖縄県と日本政府の対立が続く。何度も司法の場に持ち込まれ、沖縄県の敗訴が続いている。司法の壁に阻まれても新基地阻止を「諦めない」姿勢を示すことも会の目的だという。「オール沖縄会議」の福元勇司事務局長からは「県内、県外に波及する新しい希望になる」と激励された。
 玉城デニー知事は、故翁長雄志知事以来8年ぶりに国連人権理事会でスピーチし「意思決定への平等な参加が阻害されている」と訴えた。これに対し、今回も国連日本政府代表部は反論権を行使した。
 日本政府代表部の塩田崇弘公使参事官は「沖縄における米軍の駐留は、地政学的な理由と日本の安全保障上の必要性に基づいており、差別的な意図に基づくものではない」と述べた。「日本は法治国家である」とも強調した。
 意図していないから差別ではないという言い訳は通用しない。自ら差別という言葉を使ったことからも、差別に見えると半ば認めているのであろう。法治主義は重要だが、法律や裁判を駆使して、民意を封じ差別政策を正当化することが「法治国家」なのか。
 国連の場でも沖縄と日本政府の対立劇が演じられたことで、日本政府による沖縄差別政策がよりあらわになった。沖縄への基地押し付け政策の不条理を浮き彫りにしたことも知事の国連訪問の成果だ。
 議員有志の会はこうした知事の行動を後押しする方針だ。選挙などで沖縄の民意を重ねて示していくことも必要だ。地方自治の最前線で「真の沖縄の自治」実現に取り組んでほしい。