<社説>教員不足の解消 予算確保し施策展開を


<社説>教員不足の解消 予算確保し施策展開を
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 教員不足がなかなか解消されない。県内の公立学校の教職員未配置は9月当初の時点で80人いた。前年の9月時点が94人だったから、未配置数自体は減ってはいる。だが、学級担任を含めて教員が充足していない状況が厳然として続く。不足解消に向けて講じられている施策の推進、県民の一層の理解が必要だ。

 9月の未配置数について、県教育委員会は、いまだ必要な配置ができていない現状を厳しく捉え「減っているので改善されたとの表現は好ましくない」と評価した。正しい現状認識だろう。教員が足りていない学校現場をなくすことが必要で、数の増減に一喜一憂している場合ではない。
 県教委は対策として、教員免許保持者の教職未経験者、現場から離れている人などを対象に教職に就いてもらうためのセミナーなどを開催し、数の確保に取り組む。
 また、現職教員らへの働き方改革に関するアンケートを実施し、削減できる業務の洗い出しなどを通して短・中・長期計画で長時間労働などの改善を目指す。着実に実施してもらいたい。
 県立学校の教職員の時間外勤務上限を原則月45時間以内とする規則も定められた。上限を月45時間とする文部科学省の指針が法的に位置付けられたことを受けた対応だ。
 8月には中央教育審議会の特別部会が長時間労働の是正に向けた緊急提言をまとめた。審議会の提言を受け、文科省は業務支援員を倍増させ、残業時間の多い副校長や教頭のマネジメント支援などにも経費を計上する。
 政府による施策展開は欠かせない。一方で、問題の背景には教職員給与や配置に関する国の制度変更によって、構造的に非正規職員が増えやすくなったことも指摘されてきた。規制緩和で自治体に裁量が持たされるようになり、厳しい財政事情から非正規が増加した。日本の教育予算を大幅に増やすべきだ。
 加えて臨任の確保、採用などの短期的な取り組みだけでなく、制度設計や財政措置など、地域ごとの工夫が必要ではないか。鳥取県が独自の施策で正規雇用を増加させるなど、全国的に課題解決を模索する動きもある。沖縄県も地域の実情に照らした施策の展開が求められる。
 そのためにも必要なのは現場の声だろう。今年4月に発足した県教委の働き方改革推進課は8月、教職員らの意見を基に改革の具体的取り組みとして23の項目を掲げた短期目標「私たちのピース・リスト2023」を公表した。一つ一つのピースを実現させていくことで改革を実現させていく考えだ。
 目標の前書きは、教員の「働きやすさ」に加え、「働きがい」を実感できる学校づくりを掲げた。教師を目指す人材確保の意味でも、負担減だけではなく、魅力ある職業像を再構築していくことは欠かせないはずだ。