<社説>代執行訴訟きょう判決 地方自治の本旨踏まえよ


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<社説>代執行訴訟きょう判決 地方自治の本旨踏まえよ
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 名護市辺野古への新基地建設に関し、軟弱地盤の改良工事のための設計変更を巡って斉藤鉄夫国土交通相が玉城デニー知事に代わって承認するために提起した代執行訴訟の判決が20日、福岡高裁那覇支部で言い渡される。

 代執行の要件の一つである公益性についての司法判断が注目されている。県は請求の棄却を求めており、過重な基地負担を担う「県民の民意こそが公益とされなければならない」と訴えている。かねて指摘しているが、理は沖縄にある。地方自治の本旨を踏まえた判決を期待したい。
 国は承認しないことで普天間飛行場の危険性除去が実現できず「著しく公益が侵害される」としている。
 本来、普天間の危険性の除去は生活の安全に直結する事柄であり、県民の切実な求めである。ではなぜ県民は新基地建設に反対するのか、裁判所も国民もいま一度、考えてみてもらいたい。
 県はその理由に「過重な基地負担」と「自己決定権を否定されてきた経緯」「基地負担軽減の空虚さ」を挙げる。
 戦後、日本本土の基地負担軽減のために沖縄に基地が集中した。1995年以降の県民世論のうねりを受けて普天間返還が合意されるが、移設問題が浮上し、結局は県内での基地たらい回しとなった。
 日米が沖縄の基地負担軽減策として2013年に合意した嘉手納より南の施設の返還・統合計画は返還予定の約8割が県内移設の条件付きだ。
 辺野古新基地は5年で終了するはずの工事が長期化し、最短で12年を要する。その間、普天間飛行場が継続使用される。政府は「一日も早い危険性の除去」と繰り返すが、県民にとってそうはならないのだ。政府の言う公益とは何なのかが問われている。
 改良工事が必要な大浦湾の軟弱地盤については、米軍が1960年代、大浦湾に飛行場建設を検討した際のマスタープラン(基本計画)で存在が指摘されていた。
 防衛省も2007年段階で存在を把握していた。1997年の政府調査でもその存在を示唆する結果が出ていた。
 追加の調査などは行わないまま、埋め立て申請に踏み切った。新基地建設の総事業費は3500億円以上とされていたが、軟弱地盤への対応などが加わり、約9300億円と膨張した。県はさらに増加し、2兆5500億円になると試算する。これだけの経費膨張と軟弱地盤に対する国の不作為は国民的議論の評価を受けていない。事業の正当性を欠いていると言える。
 新基地建設を巡る国と県の訴訟の最終局面である。県は答弁書で、危険性除去を理由に沖縄のためであるとして、県民が反対する基地建設の強制が許されるのかと問い、請求棄却を求めている。司法には納得いく答えを示してもらいたい。この国の地方自治、民主主義の行く末にもかかわる。沖縄だけの問題ではない。