<南風>御膳本草の魅力


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<南風>御膳本草の魅力
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 私は、中医薬膳に出合い、琉球の食文化に興味を持ち、さらに琉球料理に興味を持ち始めた。今回は琉球の食医学書である「御膳本草」にはどのようなことが書かれているのか、紹介したい。

 御膳本草には、約300種類の食材の効能や調理方法・組み合わせなどが書かれている。

 例えば「ニガウリ」は夏の月に毎日食べてよい。カンダバーは、胃腸の調子を整え、便通を良くする。

 「タコ」は強筋骨(骨や筋)を丈夫にする。ただし胃腸の弱い人は食うなと書かれている。もし食うのならば、たっぷりのお酒と水を鍋に入れ、1~2時間ほど湯がけば、柔らかくなるので食ってよいという。

 「豚脂」は皮膚を潤し、空せき・皮膚の乾燥に良い、毛髪や骨を強くする。

 「昆布」は、こぶや腫瘍(しゅよう)、むくみに良いとされている。

 「豚足」は、通乳と書かれている。通乳とは母乳の出が良くなるという意味だが、伝統的な伝わりで、産後の女性にパパイヤと足てびち汁を飲ませると母乳の出が良くなる。

 「イカ墨汁・しろいか汁」は産後の女性に飲ませると良いといわれている。

 御膳本草を調べてみると、イカには血を補う力や、墨には、古い血をきれいな血にする、生理痛に良いと書かれている。

 「イラブ」は、歯・目頭などの痛みに良いとされる。産後の女性に食べると良いなどと書かれている。

 私たちの先人らは食べ物で身体を元気にしてきた。食物で身体を治すなどを行い、一つ一つ食材の持つ力を大切にして食べてきたことで、世界に誇る長寿の方が多くいたのだと御膳本草を読むと感じる。

 今後、沖縄の人々の長寿を復活させ、沖縄の健康を取り戻すためにも、この御膳本草を伝える活動は重要だと感じる。

(宮國由紀江、国際中医師)