書店に行くのが好きだ。書架にたくさんの本が並んでいるのを見るだけでわくわくするし、好みのタイトルや表紙に出合うと思わず購入してしまう。読んでみるまで内容が分からず、期待外れということもままあるが、それが読書の楽しみの一つでもある。購入するペースに読む速さが追い付かず、積ん読状態の本がすでに数十冊あるが、いつか読むはずと放置している。本から恨めしいという圧を感じるのは後ろめたさの後ろ返しかもしれない。
小説、マンガ、図鑑などなど、いろいろな本を読むが、最初のページを開く時の高揚感は幼いころから変わらない。昔から本は私の世界を広げてくれた。
読書は自分のためにするものだが、他者のために朗読することもある。幼いおいやめいに同じ絵本を何度も読まされるので、その度に口調を変えたりテンポを変えたりして工夫をするが、それが彼らのツボに入ったのか、さらに読んで読んでのループが続く。脱出不可能である。
そんな朗読であるが、先日、ジュンク堂那覇店で県産本を朗読するイベントに参加した。県内各局のアナウンサーが絵本や民話本、コラム本、レシピ集などを読み上げる。
アナウンサーによって読み方もさまざまだ。楽し気に抑揚をつけて読む方、観客に語りかけながら読む方、しっとりと落ち着いた雰囲気で読む方。私とは違う朗読スタイルは聞いていて非常に勉強になった。
私が読んだのは東京から沖縄に移住した方のコラム本だった。県外出身者から見た沖縄文化の面白さが軽妙な筆致で語られており、地元の魅力を再発見できた。こうした機会がなければ手に取らなかったかもしれないと思うと、一期一会をかみしめる。
読書の秋、あなたも書店で一期一会の出合いをしてみてはいかがだろうか。
(小橋川響、ラジオ沖縄アナウンサー)