<南風>人間は料理する生きもの


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<南風>人間は料理する生きもの
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 最近、さまざまな栄養療法が散乱している中、何が正しいのか、悩む人も多いのではないだろうか?

 原始時代の初めは生の肉や生の木の実などを食べていたようだ。しかしある日、山火事になり、動物たちも植物も焼け焦げてしまったが、それを食べるしかないので食べると食べやすく、おいしく、たくさんおなかに入ったことから、人は火をおこすことを知り、食べるものは火を通し料理することを学んだ。

 生で食べると、食べる量に限界があり、おなかいっぱいになる。しかし、火を通すことにより、食材が小さくなるため、倍の量が食べられることにより、脳に栄養が行き届き、脳も育ち、知恵がつき、さまざまなことが進化してきたとみられている。

 また最近では動物性の物を一切食べない方も増えてきた。動物性の食材は総合的栄養科のバランスも良い。また人は生きていくためには血液が最も大切である。その血の役割には単なる栄養だけでなく、精神を安定させる働きがあると中医学では考えられている。

 それに加え、炭水化物や植物性の食事をとらない方も増えてきた。炭水化物である米は、高エネルギーで人の体の機能を動かすためには絶対的に必要な食材である。

 さらにアジアと欧米では文化も変わり、腸の長さも違うといわれている。私が思うには、「自分はどこの生まれなのか? 人種は?」と考えることが最も重要と思う。

 さらに、最近は料理をしない方も増えてきているようだ。人は調理している様子を見ることで、心が癒やされ、幼い頃の記憶の中に焼きつかれているようだ。栄養量が進化し、人間の体が元気になることはすばらしいことだが、一方で、健康を守るには、文化を守ることも大きく影響すると考える。

(宮國由紀江、国際中医師)