<南風>いちゃりばちょーでー


社会
<南風>いちゃりばちょーでー 宮城雅也、県小児保健協会会長
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 「医療的ケア」の名称は在宅医療の子どもの地域活動(学校など)参加のため、医療に対しての恐怖から受け入れ拒否をなくすため使用した造語である。本来なら「在宅医療」が適当だが、苦難の歴史を重ねて今の小児在宅医療がある。

 在宅医療児は、自宅からの外出外泊は難しい。特に人工呼吸器を装着しているとさらに難しくなる。2004年より在宅医療児に安全安心な外泊の体験をしてもらうため、毎年2泊3日のサマーキャンプ「がんばれ共和国」“お~きな輪”をホテルで開催している。「がんばれ共和国」は、難病のこども支援全国ネットワークが全国7地域で開催している。

 “お~きな輪”は本県で開催され、小児在宅医療基金「てぃんさぐの会」が共催に入り沖縄らしさを加え開催している。参加者の重症度も高くボランティアの募集には苦労する。キャンパー(在宅医療児)と家族とボランティアで総勢約150人の大所帯となる。

 家庭ではできない体験ができるようプログラムを工夫する。キャンパーには、家族だけでは難しい海水浴や大浴槽入浴を体験してもらう。兄弟には家庭で脇役になりがちなので、一対一のボランティアを配置し主役になってもらう。ご両親には専門職が長い時間キャンパーのケアに入り、その間に全身マッサージなどのリラクゼーションを受ける。

 時間を共有していくとキャンパー家族とボランティアが友情を深め、兄弟(ちょーでー)になるといっても過言ではない。病院では見られない、キャンパー家族の笑顔でいっぱいになり最終日は涙涙の別れとなる。「来年も元気で会おうね」は、いつも命のリスクを背負うキャンパーには本当に命の重みを感じる言葉だ。

 今まで“お~きな輪”に参加した多くのボランティアが本県の小児在宅医療支援の中心となり活躍中だ。

(宮城雅也、県小児保健協会会長)