<南風>音の出る信号機


社会
<南風>音の出る信号機 小橋川響、ラジオ沖縄アナウンサー
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 音の出る信号機を目にする機会は多い。ピヨピヨ、カッコーカッコーという音で視覚障がい者に横断歩道を渡るタイミングを伝える装置だ。私たちの生活に溶けこんでいる音の出る信号機だが、設置基準はご存じだろうか。

 盲学校や役所、病院、リハビリテーション施設など視覚障がい者の利用頻度が高い施設周辺。そのほかにも車や人通りが多い交差点などにも設置されている。音の出る信号機は視覚障がい者が安心して外を歩き道路を渡るために欠かせないものだが、十分な数が設置されているとは言いがたい。

 音の出る信号機が設置されていない交差点などでは視覚障がい者は車の止まった気配や周囲の人の動きを察知して横断歩道を渡る。だが、明確に歩行者信号が青になっていると確信できない状態で渡るのだから、非常に危険なのだ。目をつぶって交差点で信号待ちをしてみたことがあるが、怖くて踏み出すことができなかった。視覚障がい者の外出の自由を保障するためにも、もっと設置していかなくてはならない。

 ラジオ沖縄では音の出る信号機設置のための募金を呼びかける特別番組「ラジオチャリティミュージックソン」を毎年12月24日正午から25日正午までの24時間放送している。今年で38回を数え、これまでに76基の音の出る信号機を設置してきた。設置箇所は県視覚障害者福祉協会が視覚障がい者の方々から要望を集めて決定しているが、ほとんどが彼らの生活道路だ。安心して道路を渡るための環境整備が不十分だと痛感している。

 今年も12月24日正午からミュージックソンを放送する。私はメインパーソナリティーの一人だが、放送を通じて一人でも多くの方に音の出る信号機の重要性を伝えられたらと思う。これを読んでいるあなたも、ぜひ聞いてほしい。

(小橋川響、ラジオ沖縄アナウンサー)