自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金事件で、同派の事務局が約10年前、還流された販売ノルマ超過分を関連政治団体の政治資金収支報告書に記載していた所属議員に対し「法的に問題ない」として記載をやめるよう指示していたことが8日、分かった。議員側はもち代、氷代と称する冬季、夏季の活動資金に含める形で計上。大半が還流分を合算していなかったとみられ、派閥事務局は「1人だけ金額が大きく見えるため」と説明したという。
還流を表面化させず、裏金化の徹底を図ったとみられる。
議員は、元文部科学相の柴山昌彦衆院議員。柴山氏は派閥事務局の指示に従い、2014年ごろに記載をやめた。今月1日にさいたま市内で記者会見した後、共同通信の取材に詳しい経緯を明かした。収支報告書に記載していた還流分が裏金化される経緯が明らかになるのは初めて。安倍派事務局に取材を試みたが、連絡が取れなかった。安倍派は解散方針を決めている。当時の会計責任者は既に退任している。
柴山氏によると、直近5年分の不記載総額は896万円。取材に「派閥を信じていた。反省材料だ」と述べた。
柴山氏の関連政治団体は、13年までは派閥パーティー券の販売ノルマ超過分をもち代や氷代に含めて計上していた。ところが、14年ごろに派閥の事務局から「先生だけ金額が多いと目立ってしまう」「今後は他の議員と同様に計上しないで」と、還流分の記載をやめるよう指示された。
柴山氏は弁護士で、不記載は法的に問題だと考え、異論を唱えたが、聞き入れられなかったという。ノルマ超過分は事務所内に現金で保管していた。柴山氏は、自民党による聞き取りにも同様の説明をしたという。
(共同通信)