技能実習生として来日したベトナム人女性9人が、母国で採用の仲介を担う「送り出し機関」から避妊処置を勧められ、このうち5人が避妊リングを装着するなどの処置をしたことが21日、共同通信が支援団体を通じて実施したアンケートで分かった。
送り出し機関から「妊娠したら帰国しなければいけない」との指導を受けた上で処置を勧められるケースが多く、「勧められた通りにしなければ日本に行けないと思った」として処置に応じた人もいた。
妊娠・出産を理由とする不当な取り扱いは男女雇用機会均等法で禁じられ、外国人労働者も出産育児一時金や産前産後休暇、育児休業の取得が可能だ。しかし実習生に対し、子を産み育てるかどうかを自分で決める「リプロダクティブ権」が軽視されている実態が浮き彫りとなった。
出入国在留管理庁は「本人の同意に基づかない避妊処置であれば問題だ。国籍に関係なく、妊娠・出産を理由とした不当な取り扱いはあってはならない」としている。
避妊処置をした5人は現在日本で働く実習生。このうち3人は理由について「仕事を辞めさせられ、帰国させられると思った」と回答。他2人は「勧められた通りにしなければ、日本に行けないと思った」「まだ結婚もしたくないし、子どもも産みたくない」とそれぞれ答えた。
送り出し機関から避妊を勧められたが、処置しなかったのは4人。理由について「お金がかかるため」などと回答した。
アンケートは昨年8~9月、在留ベトナム人を支援するNPO法人「日越ともいき支援会」を通じて実施。現役実習生や元実習生のベトナム人女性59人が回答した。このうち約6割に当たる36人が、送り出し機関から妊娠を制限する指導を受けたとも回答した。
技能実習制度では、妊娠や出産をした場合も一時中断し、実習を再開できる。妊娠や出産を理由に本人の意思に反して実習を打ち切る行為があれば、技能実習適正化法に基づき、受け入れ先や監理団体は行政処分対象となる。
(共同通信)