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沖縄へ移住、大宜味村のチョコレート専門店で店長に 目指すはカカオ産地、沖縄の素材を使ったチョコを世界に 駒井美咲さん


沖縄へ移住、大宜味村のチョコレート専門店で店長に 目指すはカカオ産地、沖縄の素材を使ったチョコを世界に 駒井美咲さん 駒井美咲さん=大宜味村田嘉里のOKINAWA CACAO
この記事を書いた人 Avatar photo 武井 悠

 大宜味村田嘉里のチョコレート専門店「OKINAWA CACAO」の店長・駒井美咲さん(30)。村内でのカカオ栽培からチョコの販売まで、6次産業に取り組む同店に興味を持ち、沖縄に移住した。昨年5月から約1カ月半、ウガンダでカカオ栽培や加工について学び、沖縄での応用に向けた取り組みを始めている。

 ―店で働くきっかけは。

 「大学4年生の時、カカオの生産量が減少している報道を見て、カカオを巡る社会課題に興味を持った。全世界の人々がチョコを食べているにもかかわらず、カカオの生産者へ収益が流れないことに疑問を持ち、カカオ栽培からチョコの販売まで6次産業化の形ができれば生産者の収益が上がるのではと思った。カカオにどのように携わっていくかを考えていた中で、国内で6次産業に取り組むOKINAWA CACAOを知った」

 ―店と地域の関わりは。

 「私が来る前から地域の食材を使った商品作りに取り組んでおり、カラキやシークヮーサーなどの農家への訪問や交流をしている。定期的な朝市でも地域交流はあり、地域からの応援も感じる」

 ―仕事のやりがいは。

 「店の人数が少ない中で何でもこなすのは大変だが、農家と関わる中で、チョコとの組み合わせによる商品化が農作物の付加価値を上げることにつながるかなどと考えることが楽しい」

 ―なぜウガンダに渡航しようと考えたのか。

 「現在独自の方法で行っている発酵過程を含め、どのように栽培、加工しているかを見に行きたかった。海外への興味もあり、農家がどういった生活を送っているのかも知りたかった。現地では発酵施設も付随した農場で加工方法を実際に見学した。私たちもカカオを栽培しているので、沖縄で学んだ知識を伝えたり、剪定(せんてい)作業や農作業も一緒にやったりした。帰国後は発酵について学んだ経験を沖縄でどう応用できるか考え、実践している。現地での体験を県内外の催事で来場者に話すことにも取り組んでいる」

 ―今後の目標は。

 「近い目標では沖縄の素材を使ったチョコレートを世界に届けたい。長期目標では、県産カカオの収穫量を増やし、生産地になるよう取り組みたい」

 (武井悠)


 こまい・みさき 1993年生まれ。兵庫県出身。大学では工学部所属だったが、4年生の時にカカオ生産の社会課題をニュースで知り、興味を持つ。大学院修了後、農機具メーカーでの勤務を経て、2020年に沖縄へ移住し、現在はOKINAWA CACAOでカカオ栽培からチョコの製造、販売、商品開発などに携わっている。