辺野古の海、泥堆積 日本自然保護協会などが状態調査


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
泥をかぶるリュウキュウスガモ=12日、名護市辺野古の陸側に近い護岸付近(日本自然保護協会提供)

 【辺野古問題取材班】日本自然保護協会とヘリ基地反対協議会ダイビングチーム・レインボーは8~12日、名護市辺野古の新基地建設に関わる護岸周辺で、ジュゴンが食べる海草の状態を調査した。建設工事前の2012年に実施した前回調査と比べ泥や岩が堆積し、海草の種類が減少するなど、環境の変化を確認した。

護岸沿いで、本島で最も多様性に富んで広がる海草藻場=12日午後、名護市辺野古沖

 02年から調査を続けてきた同協議会専務理事で、筑波大学大学院の吉田正人教授(世界遺産学)は「多様性が失われつつある懸念がある。護岸によって流れが阻害され、泥などをかぶっても生き残れる生き物だけの環境になっているとみられる」と指摘した。

 辺野古沖は、沖縄本島でも海草の多様性が高い地域とされる。前回調査で7種の海草を確認したが、今回はベニアマモを除く6種の確認にとどまった。リュウキュウアマモが泥をかぶって死にかけていた一方で、泥に強くジュゴンが好まないボウバアマモが多く生えていた。

 前回調査で4種を確認した地点は、ボウバアマモ1種だけ生息する環境になっていたことを確認。また魚礁などに生息する大型の魚の姿もあった。前回調査で確認したベニアマモは護岸に囲われた地点にあり、今回は調査できなかった。

 吉田教授は「県の撤回で護岸が開ければ、今であれば辺野古の環境は元に戻せる」と強調した。