本紙文化面でエッセーを連載している映画作家の河瀨直美さんが8日、那覇市のハイアットリージェンシー那覇沖縄でトークショーを開いた。河瀨さんの地元奈良の墨と琉球藍を使い、紅型の技法で染めた小物の商品開発などについて語った。
小物は今帰仁村の紅型工房ひがしやと、奈良で麻製品などを販売する「井上企画・幡(ばん)」にコラボレーションを提案、実現した。
トークショーで河瀨さんは、奈良の伝統ある「三輪そうめん」のコンセプトムービーを手がけたことなども紹介した。「伝統のものづくりでは、アピールが得意でなくて現場の人が(本来の価値に)見合わない給料でやっていることもある。私は映画監督だが、歴史や文化をストーリーにして伝えることで、みんなにその価値に気付いてもらえたら」と語った。
トークショーにはひがしやの道家良典さん、由利子さん夫妻と井上企画・幡(ばん)の林田千華代表も参加した。良典さんは、色彩豊かな通常の紅型ではなく墨と藍の2色に絞ったことについて「挑戦だった」と振り返った。由利子さんは「墨は一色でいろんな表現ができる点が藍と共通していると気付いた。使う側の目線での商品づくりも学ばせてもらった」と振り返った。林田さんは「全ては一期一会」とコラボレーションに感謝した。
(伊佐尚記)
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