琉球舞踊藤の会師範の呉屋かなめと玉城流翠扇会師範の阿嘉修が共働でつくる舞台「機縁 壱 はなのうち」(シアター・クリエイト主催)が6日、沖縄市民小劇場あしびなーで開催された。昼と夜の公演があり、それぞれ古典や雑踊、創作舞踊や舞踊劇などが披露された。ホームグラウンドである同劇場で、立方や地謡の琉球芸能家と共に趣向を凝らした舞台を展開。それぞれの個性を感じさせつつ、芸追求の姿勢や思いを熱く感じさせる舞台となった。(田中芳)
安定の舞で魅了 かなめの会
昼公演では呉屋かなめによる「かなめの会」が「諸屯」の古典女踊り、「花風」「汀間当」の雑踊り、「あしば鳩間」(新崎恵子作舞)などを披露し、安定した舞に観客から拍手が沸いた。新崎恵子との師弟共演による「シンターゲーリー遊(あし)び」は、定評のある早間踊りで、息の合ったコンビ芸を見せた。
そのほか、呉屋振り付けによる、創作の祝儀舞踊「KOTOBUKI」や舞踊劇「きっちゃき かなー小『儲(もう)き果報口説(がふうくどぅち)』」なども披露された。舞踊劇は商売のもうけに苦労しながらも、いつも前向きなかなー小を呉屋が演じ、もり立てた。
心情表現繊細に 修の会
夜公演は阿嘉修による「修の会」。阿嘉は古典女踊り「伊野波(ぬふぁ)節」、雑踊り「むんじゅる」、二歳踊り「湊くり節」を披露。「伊野波」では抑制された表情などで演目に込められた女心を表現した。呉屋かなめとの共演で昼夜共に披露した「加那よー天川」は、前段と後段で男女の踊りが早替わりし、会場を沸かせた。
舞踊劇「腹鼓御殿(わたちじんうどぅん)」では、「さかさま『執心鐘入』」(大城立裕作)より「小僧の踊り」など阿嘉のこれまでの創作作品を連ねた。第五場の「腹鼓御殿」では阿嘉と共演者らがタヌキの姿に扮するなど、ユーモアにあふれる演目だった。