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「お菊さん」がアイドルに? 金原亭杏寿、二つ目で沖縄初公演 成長ぶりを披露


「お菊さん」がアイドルに? 金原亭杏寿、二つ目で沖縄初公演 成長ぶりを披露 二つ目昇進後、初の沖縄公演を開いた落語家の金原亭杏寿=1月24日、那覇市のテンブスホール
この記事を書いた人 Avatar photo 伊佐 尚記

 県出身落語家・金原亭杏寿(きんげんていあんじゅ)と師匠の金原亭世之介(よのすけ)による新春落語会(ラジオ沖縄主催)が1月24日、那覇市のテンブスホールで開催された。杏寿の沖縄公演は昨年1月以来1年ぶりで、2月の二つ目昇進後は初めて。今回はトリを務め、前座だった1年前より堂々とした落語を聞かせた。昨年5月に発売したCD「落語歌謡 品川心中」の収録曲も古典落語に取り入れ、成長を感じさせた。

 杏寿は県内でタレント活動をしていたが、上京して2017年に世之介に入門した。5年余の厳しい修行を経て二つ目に昇進した。

 24日の落語会では二つ目から着られる紋付きの着物と羽織を着て登場。「二つ目になり沖縄に帰って来ました」と明るい声であいさつを述べた。縁起のいい言葉を連発する落語「ざる屋」を最初に披露し、新春らしい幕開けとなった。

 続いて世之介が披露したのは人情噺(ばなし)の大ネタ「文七元結」。トリを杏寿に譲ったものの、貫禄のある芸で観客をうならせた。主人公はばくちで借金を重ねる長兵衛。娘のお久は家族を助けようと自ら吉原に身売りする。遊郭の女将(おかみ)は長兵衛に50両を貸し、お久を店に出すのは待ってあげるから大みそかまでに返すようにと告げる。だが長兵衛は大金をなくして死のうとする若者に50両をあげてしまう。威勢が良過ぎるが情に厚い男を好演した。

 最後に杏寿が聞かせたのが「お菊の皿」。有名な怪談だが、落語ではお菊の幽霊を見たさに多くの人が集まり興行まで始まる。杏寿はお菊をアイドル、見物人をオタクにして現代的にアレンジ。「みんなのアイドル、お菊ちゃんだよ☆」と華やかな個性を発揮した。

 5月に出したCDの収録曲「お菊の皿~OK’s Rockn’ roll」をお菊が歌うという演出も。しっかりと長尺で歌い、観客とのコール・アンド・レスポンスで盛り上げた。

 公演後、杏寿は「温かいお客さんに助けていただいた。真打ち昇進を見据えてネタを磨いていきたい」と抱負を語った。

 (伊佐尚記)