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「雲晴らす祈り込めた」 映画「戦雲」那覇で試写会 三上監督、撮影を振り返る 県内23日から公開


「雲晴らす祈り込めた」 映画「戦雲」那覇で試写会 三上監督、撮影を振り返る 県内23日から公開 来場者からの質問に応え、映画「戦雲」の制作を振り返る三上智恵監督=2月21日、那覇市の桜坂劇場
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 県内では23日から公開されるドキュメンタリー映画「戦雲(いくさふむ)」の関係者試写会が2月21日、那覇市の桜坂劇場で開かれ、ジャーナリストで監督を務めた三上智恵が舞台あいさつに登壇した。作品には、自衛隊ミサイル部隊の配備や、弾薬庫の増設など、軍事化が急速に進む与那国を軸に、石垣、宮古、沖縄本島で、軍事化に抗議の思いを示す人々が登場する。三上は「絶望してる場面だけじゃない何かをずっと考えていた。それでも命は輝こうとするテーマがあった」と取材と撮影を振り返った。

 「沖縄スパイ戦史」(2018年)に続く5作目。ジャン・ユンカーマン監督の与那国島が舞台となった映画「老人と海」の大ファンだったといい、自身にとっても与那国は特別な場所だという。

 映画に登場する人物たちに触れ、三上は「人間の命はそれでも輝こうとするんだということが、私がこの映画に込めた最大の希望だ。祭りや漁、歌とか、そういうものの中にたくさん魅せてくれた」と出演者らに感謝した。

 石垣市での陸上自衛隊配備に反対する「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」の山里節子さんも登場する。映画のタイトル「戦雲」は、山里さんが歌う叙情詩「とぅばらーま」の歌詞に由来するという。

 三上監督は「『戦雲』は黒く覆われているが大きな風が吹けば、黒い雲を晴らすことができる。黒い雲の向こうには必ず太陽はある。雲間から差してくる光を目指して走ってる人たちと一緒に向かい、雲を晴らしていこうという祈りも込めた」と思いを話した。


 ドキュメンタリー映画「戦雲」は、県内は23日から同劇場と宮古島市のよしもと南の島パニパニシネマで公開される。桜坂劇場では23日、パニパニシネマでは24日の午後1時からの上映終了後、三上監督が舞台あいさつを行う。